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【米国セール遠征2025】
スタッフが語る繁殖牝馬を追いかけて⑦
2025.12.29 Column
ヒルンデイルファームとダーレーで次々と名種牡馬を見ることができましたが、ケンタッキーにはまだまだ凄い馬がたくさんいます。どんどん紹介していきましょう。
【テイラーメイドファーム】
生産も行っている大手の牧場なので、名前を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。日本にゆかりのあるところではヒシアマゾンが生まれ、繁殖として過ごした場所でもあります。
ここの不動のエースはノットディスタイム(Not This Time)です。現役時代は4戦2勝。16年のBCジュベナイルの2着を最後に、2歳で現役を退きましたが、その悔しさを晴らすように種牡馬として大ブレーク。22年の米最優秀3歳牡馬のエピセンター(Epicenter)、23年の米最優秀芝牡馬のアップトゥザマーク(Up to the Mark)、23年のドバイゴールデンシャヒーンを制したシベリウス(Sibelius)など、続々とGIウイナーを送り出しています。

来年の種付料はイントゥミスチーフ(Into Mischief)、ガンランナー(Gun Runner)と並び、北米トップタイとなる25万ドルに設定されました。今回のセールでも産駒や同馬を受胎している繁殖が軒並み高価格で取引されていたので、今のアメリカで最も勢いのある種牡馬と言えるでしょう。これまで日本で走った産駒は3頭のみですが、現3歳のロッシニアーナが3勝クラスで活躍中。芝ダートを問いませんし、スピードがありますし、しかも仕上がり早ですから、日本適性は高いはず。来年12歳とまだまだ若いので、マル外の大物登場を楽しみに待ちたいと思います。
【ジャドモントファーム】
こちらも名門ですね。米英愛の3カ国を拠点に生産や種牡馬事業を行っています。創設者であり、21年に亡くなったハーリド・アブドゥラ殿下の所有馬にはダンシングブレーヴやフランケル(Frankel)、アロゲート(Arrogate)やエネイブル(Enable)など、超が幾つも付くような名馬が数多くいました。
こちらで取り上げたいのはエリートパワー(Elite Power)です。日本ではあまり知られていない馬かもしれませんが、22年と23年のBCスプリントを制し、史上3頭目の同レース連覇を達成。両年の米最優秀スプリンター牡馬に選ばれた名馬です。カーリン(Curlin)の産駒には珍しい短距離馬。この系統はパレスマリスが日本で成功していますし、何年か先にJBCスプリントを勝つような馬が出てくるかもしれませんね。

帰り際にアロゲートの像を見ることもできました。16年と17年に世界ランク1位を獲得し、23年には米殿堂入りを果たしたレジェンド。存命ならイントゥミスチーフやガンランナーと鎬を削っていたはずで、20年に7歳で死んでしまったことが悔やまれますね。
アロゲートの銅像

【スリーチムニーズファーム】
こちらのエースは先ほどから何度も名前が出ているガンランナーです。北米を代表するトップサイアーであることはもちろんですが、今回導入したIntricateの父という意味でも、絶対に見たいと思っていました。キャリアの後半にGIを5連勝するなど成長力がある馬でしたが、産駒は2歳戦から活躍していますね。ガンランナーの血を引く馬は意外にも日本で重賞を勝っていませんが、このまま終わるはずがないでしょう。ガンランナーと目を合わせて〝Intricateの産駒で大きいレースを勝ちます〟と誓ってきました。

【レーンズエンドファーム】
今回の項で最後にご紹介するのはレーンズエンドファームのフライトライン(Flightline)です。通算成績は6戦6勝。ワールド・ベスト・レースホース・ランキングではフランケルと並んで歴代トップタイの140ポンドを獲得しており、史上最強馬に推す人もいる馬です。
タピット(Tapit)の産駒なので〝うるさいのかな?〟と思っていましたが、多くのゲストに囲まれても落ち着きがありました。

今年のセレクトセールには5頭が上場されて、うち4頭が1億円超え。レイクヴィラファームの「ベッラガンバの24・牡」は1億500万円(税抜)で(有)ウエストヒルズさんにご購買いただいています。初年度産駒のデビューは来年。子どもが走るまで分からないのが種牡馬の世界ですが、この馬に関しては大丈夫でしょう。名残惜しかったですが、ワクワクした気持ちのまま、次のスタリオンに向かったのでした。
次回はいよいよ最終回。種牡馬見学の第3回をお届けします。