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【米国セール遠征2025】
スタッフが語る繁殖牝馬を追いかけて②
2025.12.03 Column
現地到着から一夜明けて、馬漬けの日々がスタートです。2日目と3日目の2日間、時間をかけてキーンランドとファシグティプトンの下見をしました。
朝一番にキーンランドの会場に到着して驚いたのは、小学生ぐらいの少年が馬を引いていたこと。家族の手伝いなのでしょうが、日本では見たことがない光景でした。そして絶対に壊れなさそうな鎖でつながれた犬もインパクト抜群。万が一逃げ出して馬の近くを走り回ったら、大騒ぎになっていたことでしょう。また、2日目の夜にBCクラシックでフォーエバーヤングが優勝したため、3日目以降は日本人だと認識されると「Congratulations!」と声をかけられる事が多くなりました。


それでは足を棒にして歩き回った結果、候補とした4頭を紹介しましょう。偶然にも全馬がファシグティプトンの上場馬でした。1頭目は112番のKinzaです。ダートの1600mと1700mのGIIIの勝ち馬で、後にGIを制するSplendoraやKopionに勝利した実績あり。何より筋肉質の素晴らしい馬体に惹かれました。米国のみならず、欧州でも大物を送り出しているJustifyを受胎済みというのも強調材料でした。

2頭目は145番のSelenaiaです。芝1700mのGIIIの勝ち馬。この馬の最大のセールスポイントはレースぶりで、しっかりと脚をためる形から直線でギュンと弾けていたので、いかにも日本の芝向きと感じました。実際、体つきも芝馬らしくシャープ。来年の種付料が北米トップタイの25万ドルとなったNot This Timeを受胎しているとあって、多くのバイヤーが下見に訪れていました。

そして3頭目が174番のIntricateです。2歳時には後にGI・7勝を挙げるThorpedo Annaを下してGII勝ち。重賞はこの1勝のみですが、非の打ち所がない馬体も考慮すると、文句なしにGI級の馬と思えました。さらには父がトップサイアーのGun Runnerで、北米リーディングサイアーを6年連続で獲得しているInto Mischiefを受胎中。全てにおいて隙のない馬で、相当競り上がることだけは確信できました。

最後は227番のTrenchtown Catです。新しく導入する馬としては幾らか高齢の9歳馬ですが、産駒のMr.A.P.が先日のBCジュベナイルで2着ですから、実績は申し分ありません。現役時代は7戦3勝。重賞は勝っていませんが、19年にGIIのプリンセスルーニーSで2着となっており、その時の勝ち馬がレイクヴィラに導入されているストーミーエンブレイスということで、不思議な縁を感じました。こちらも既に種牡馬として実績十分のMcKinzieを受胎していました。

2日間の下見を終え、セール前日の夜は作戦会議です。最終的にどの馬を、いくらまで競るのか。1頭1頭に対して上限の予算を決めて、本番に備えました。
次回はセール本番の様子をお届けします。