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【アメリカ繁殖セリに挑戦】
国境を越えた競馬の旅②

2023.11.20 Column

Fasig-Tiptonでのセリ本番

いよいよセリの日です。
海外のセリはパートナーシップを結んでいるノーザンファームと競る馬がぶつからないように相談して最終決定します。
最後に下見をした上でレイクヴィラファームが競る馬を決定しました。
 

■競る馬の選定

・162番 MERNEITH
・206番 AND TELL ME NOLIES
・208番 AWAKE AT MIDNYTE
・233番 FUN TO DREAM
の4頭です。

 

■セリの注目馬:G1勝利のNest

写真は今回の目玉の1頭で、G1を3勝しているNestです。
G1を3勝しているネスト
G1を3勝しているネスト

こういう馬は見ているだけで満足します。
なんと、REPOLE STABLEさんが、600万ドル(1ドル150円とすると、約9億円)で購入されたそうです。

 

■セリ前の心境と予算の考察

円安で、かつ高くなることが予想される市場ですから、心の中では208番が一番現実的と思いながら、最終下見をおえます。
セリは14:00から始まり、最初に競る馬の順番は17:30ごろになりそうです。

遅めの昼食をとった後、時差ボケで朦朧としているので、ホテルに戻り1時間ほど仮眠を取ります。
セリの終了が22:00近くなりそうなので、夕食のためのハンバーガーを買ってからセリ場へ。

 

■セリ会場の雰囲気

セリ場は人で溢れかえっていました。

日本人の生産者仲間もたくさん見かけます。
メインのセリ場はYouTubeで放映されていますが、アメリカ式の特徴として、裏のパレードリンクでも競りが行われます。

パレードリンクの中も人が溢れかえっているのが日本とは大きく違う光景です。
いつも裏のパレードリンクで競るのが習慣となっています。

自分が競る馬の10頭前くらいで、競りの場所で待機します。
目の前を歩く馬をじっくり観察し、最終確認を念入りに行うことが重要です。

 

■162番 MERNEITH

162番の馬には、110万ドルの予算を設定しました。

競りが始まり、10万ドルからスタートし、90万ドルで一度流れが切れたタイミングでスポッターに軽く手を挙げて合図します。
するとスポッターのお爺ちゃんがマイクで「ウォン」みたいな声をあげると自分のビットが入ります。
しかし、値はすぐに上昇し、一気に150万ドルに。

スポッターに「行かないの」?というジェスチャーをされますが首を振って、やめるという合図をして試合終了です。

結局この馬は200万ドルまでなりました。

 

■206番 AND TELL ME NOLIES

最初の馬はまったく手が出なかったので、気持ちを切り替えて206番の馬を待ちます。

2歳のG1勝ち馬なので安いはずはないですが、「こんな値段で!」というのがあるのがセリなので大きな期待もあります。予算は130万ドルです。

セリを眺めたり、いろんな人と話して、待つこと2時間。

206番の馬が鑑定台に出てきました。
どんどんビットが入り、値段が上がっていきます。
70万ドルから参戦し、110万ドルに達すると3人の競り合いになりました。

ビットの入る時間が長くなってきているので、3人とも慎重に考えながらビットを入れていることが分かります。

予算をオーバーしていますが、「あと一回打っていれば。。」というのが一番悔しいので予算オーバーでもある程度は競り続けます。

しかし180万のビットを返されて、さすがにここで退散します。
結果230万ドルというすごい値段で日本の生産牧場の方が購入しました。

207番の馬の競りではパートナーシップを結んでいるノーザンファームが購入できました。

 

■208番 AWAKE AT MIDNYTE

ノーザンファームの関係者に祝福を送った後、本命の208番に目を向けます。

近親に活躍馬はいませんが、本馬はG1ラブレアSをはじめとして、数々の重賞で2着を繰り返した実力馬で、馬体評価もA級です。予算は80万ドル。

セリが始まり、40万ドルくらいから参加します。
60万ドルくらいから一騎打ちに。
しかも相手は日本馬生産界の重鎮の方ではありませんか。
でも負けるわけにはいきません。
ここは降りないという主張をするために、素早くビットを入れていきます。
80万ドルを日本馬生産界の重鎮の方がビットした後、すかさず82.5万ドル(1ドル150円とすると、約1億2,375万円)でラストコールし、無事落札しました。完全に予算通りです。
見守ってくれていた人たちから祝福されながら、書類にサインしました。
208

サインした書類は複写を輸送会社の人に渡し、輸送の手配を頼みます。
ほぼ満足な結果ですが、もう一頭の候補である233番も「こんなに安かったら買えばよかった」がないように、きちんと動向は見届けます。
ただ馬体に個人的に気になるところがある馬だったので深追いはしません。

 

■233番 FUN TO DREAM

233番が近くなると真剣な顔の日本の仲良しな生産者がパレードリンクの対岸に出てきたので、その時点で安くはないことが分かります。
最終的に、この馬は190万ドルで日本の仲良しな生産者が購入しました。
この馬は、先ほど購入した208番、アウェイクアットミッドナイトがG1で2着になった時の優勝馬です。
1着2着馬が日本に来ることになりそうです
これにてFasig-Tiptonでのセリは終了。

時計を見ると、もう22:00近くになっていました。
ホテルのバーで、一日の緊張と興奮を振り返りながら、仲間たちと軽くお疲れ様会を行い、その後は就寝しました。

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この旅の続きは「国境を越えた競馬の旅③」をご覧ください。
前日の内容は「国境を越えた競馬の旅①」をご覧ください。